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『優勝したらデビュー』オーディションに出場し、ほとんどギターが弾けないのに制作時間30分の曲を観客の前で1人で披露した話

2017年9月14日

 

私がちょうど大学生だった頃の話だ。

「何かをやってみたい」

「このまま終わってしまうのが悲しい」

時として、若さというのは恥ずかしげもなくバカなことをやってのけるのだ。

当時の私は大学生というのもあって時間を持て余していた。時間はあるけどお金がない。やるべきことは確かにあるような気がする。でも何をすればいいかはわからない。

 

そんな時にふと入った楽器屋に、タイトルの広告が出ていた。おもしろそう。ものすごく軽い気持ちだったけど、軽いノリで、店員さんに聞いてみた。

 

店員さん「出てみてはどうですか?」

 

そんな店員さんの言葉に押されて、私はその場で応募することに決めた。ところで私に何の算段もないというわけではなかった。私はその当時軽音楽サークルに所属しており、もっとも活動してはいなかったが。楽器のできる友人も何人かいた。早速私は2人ほどに声をかけてみることにした。

仲の良いドラムのできる友人は多少話に乗ってくれたものの、結論を言えば、メンバーが集まらなかった(笑)第一急な思い付きで応募したものだから時間がなかった。

 

そうして、私は一人でオーディションに出場することになった。

 

青山「オーディション言うても、まぁ数人の審査員がいて、5分くらいパパッと歌って終わりでしょ?」

 

そんな考えは当日会場で吹き飛ぶことになる。

会場はちゃんとしたライブハウス。私が出たグループの出場バンドは20組くらいだった気がする。

 

そして観客がものすごく多かった!!

 

なんかそれぞれのバンドの友人とかファンとかとにかく観客がちゃんと来ていたのだ。

 

青山「おもてたのと違う・・・・・・」

 

おいまずいぞ!まず私の活動にファンという概念がない。いや、そもそも活動すらしていない(笑)

 

まずい!全身から冷汗が噴出した。

 

演奏順が抽選で決められた。私は20組中17番目くらいだったと思う。

 

どうする?

 

そうこうしていると司会者が開演の挨拶を始める。持ち時間が1組15分。

リハーサルから始めるらしい。

 

1組ずつ呼ばれ、音量調節等のチェックを始める。そのうち私の番がくる。音量調節とかわからない私(笑)そもそもエレアコを持っていなくて、ただのアコギなので音量も何もあったものじゃない。まわりはみんなエレキギターという始末(笑) 世界一ずさんなリハーサルを終える。

 

どう切り抜ける?早い話が場違いだったのだ。1組目のバンド演奏を聴いたときに、レベルの違いを思い知った。

 

順番が来るまで後数時間はある。私は居た堪れなくなってライブ会場を後にした。家に帰った。やりたくない。恥をかきたくない。

 

ギターは会場に置いてきたから、家にある別のギターを手に取って1曲弾いてみた。下手すぎる。ビックリするくらい下手だった(笑) 恥をかく。恥をかきたくない。とてもじゃないが人に聴かせられる代物じゃない。

 


やっべー

まさにこの状態(笑) このセンパイと同じ状態(笑)

 

 

やめよう

 

やめよう・・・・・・

 

やめよう・・・・・・。

 

 

やらなきゃいけないことをやるんだ。
そうすればうまくいくさ

ボブ・ディラン

 

 

あなたは・・・・・・

ロックの神様

 

もちろんこんな下手くそな中途半端な奴のもとにロックの神様が舞い降りるなんてことはない(笑) やるっきゃない。こうなりゃやけくそだ。恥かいてこよう!

 

私は家を出て、その足で美容院に行って長かった髪を坊主にした(笑)

 

 

わかんないけど、なんだかロックっぽいやん?

 

それから缶チューハイを飲んで会場に戻った。

 

 

会場に戻って少しすると自分の番が近づいてきた。控室的なところに入ると、すでに演奏を終えた大阪の4人組のバンドが「がんばれっ!」と声をかけてくれた。4人とは羨ましい限りさ。

 

けれどもありがとう!!

盛大に恥かいてくるから!技術はないけど、心で歌うから。

 

 

自分の番がやってきて、青山はステージに立った。頭が真っ白になる。正直誰かに届けようという気持ちは一切なかった。ただただ世界にひとつだけのオリジナルを歌った。数分で書き上げた曲だ(笑) それでも世界にひとつだけのオリジナル曲。

 

 

そこで歌った2曲は、もうどこかで披露されるということはない。

 

「この曲を青臭い亡霊に捧げます」

 

 

今でも時々そのライブ会場の前を通ると、当時の記憶がよみがえる。そこには不思議に恥ずかしかったこととか後悔とかはひとつもなくて、「生きた」という記憶だけがただ置いてある。結局のところさ、物事というものは、やった奴だけが知るんだよ。

 

そうだろ?ロックの神様!