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「明日が見えない時には本を読もう」シンプル様と小説

 

無職時代に読んだ本の量は数百冊になります。これまでの人生の中であの時ほど本を読んだことはありません。小説とビジネス書の割合で言えば、今でこそビジネス書が10割ですが、その当時は小説が4割くらい、小説の中でもミステリが中心で、そのなかでも特に好んで読んでいたのが、レイモンド・チャンドラーの小説です。

そのなかでも特に好きなのが、『長いお別れ』です。


 

 

カフェで『長いお別れ』を読んでいると、対面の席にシンプル様がやってきた。

「やあ青山君!」

「外はこんなに騒がしいのに、君は読書かい?」

「感心なことだよ!」

「でも読書と言っても、小説なので勉強ではなく娯楽ですよ」

「それがどうした?構わないさ!本を読むということで救われる命がたくさんあるのだからね!」

 

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「読書には成長のための読書と、命を救うための読書がある。成長のための読書は、行動が伴わなければ意味がない。読書(ビジネス書類)=勉強 / 読書(小説、漫画)=娯楽という見方があるし、それはもっともなことだ」

「でもこれを忘れないでいてほしい」

「青山君、かつて君が出口の見えない暗闇のトンネルを彷徨っていた時、私は君に1冊の本を差し出しただろう?」

「それ以後も、君が人生に行き詰まり絶望に暮れるたびに私は君に本を読むことを奨めた」

「そしてそのたびに君は必ず立ち直ってきた」

「読書には不思議な力がある」

 

「物語に触れると、君は一時的に死ぬことができるのだよ」

 

 

「活字が君の脳にイメージを求める。君の脳は君のいる世界とは別の世界に飛び、君はその場から消えてなくなる。君のアイデンティティとは、君の心のことなのだから、すなわち君はすでにその場所にはいないのだ」

「語に没頭した君は死ぬという経験を経て、数時間後にようやく君自身の肉体に戻ったとき、そのとき君はもう、本を開く前の君とは別人なのだよ!」

「『こんなに時間が経っていたのか!』と、そう思うはずさ。」

「世の中の多くの問題というのは、時間が解決してくれる。こと感情に関してはその効果が顕著に表れる。つまり君は本を読むということを通して、死ぬという時間の過ごし方をし、たとえ一時的にであろうとも不安な感情を拭い去ることができたのだ」

「読書には、勉強という観点に加え、死を経験する=アイデンティティの死(物語を歩く、他者を生きる)という面があるのだ」

「だから小説だからと言ってバカにしてはいけないよ。不安に押しつぶされそうなとき、明日が見えない時は本を読もう!」